新年度の始まりから1か月が過ぎた5月。
多くの人が新しい環境や仕事にようやく慣れ始める時期ですが、同時に
「なんとなく気分が沈む」
「仕事に行きたくない」
と感じる人が増えるのもこの時期です。
そう、いわゆる「5月病」です。
この5月病、実は「誰にでも起こり得る」ものであり、しかもその現れ方は“立場”や“働き方”によって大きく異なるのが特徴です。
本記事では、職場における代表的な4タイプ——
- 新入社員・新社会人
- 中堅社員・異動者
- 管理職・リーダー
- テレワーク中心の働き方をする人
それぞれに焦点を当て、特徴的な症状と具体的な対処法を詳しく解説します。
この記事を読むことで、自分の状態を客観的に見つめ直し、正しいケアと予防ができるようになります。
新社会人・新入社員の5月病:初期適応に失敗しやすい時期
■特徴
新年度を迎えたばかりの新社会人は、大学や専門学校などの学生生活から一転して、社会というまったく新しい世界に飛び込みます。
そのため、以下のような状態に陥りやすくなります。
- 毎日が新しいことでいっぱいで、頭がパンク寸前
- 「自分はここにいていいのか?」という不安
- 小さなミスでさえ深く落ち込み、完璧を求めすぎてしまう
■対処法
- “完璧な新人”を目指さない
完璧な新人など存在しません。ミスを恐れるよりも、「わからないことはわからないと言える勇気」が大切です。 - 素直に質問し、メモを取る習慣を
上司や先輩は“教える前提”でいます。積極的に質問すれば、学びのスピードも倍増します。 - 同期や友人と定期的に悩みを共有する
一人で抱え込むと、感情が膨らみやすくなります。「同じことで悩んでいる人がいる」と知るだけでも心が軽くなります。
「こんなに疲れるとは思わなかった…」と思うのは、
それだけ頑張っている証。“慣れるまでが仕事”と割り切る姿勢も大切です。
中堅社員・異動者の5月病:責任と現場ギャップの板挟みに
■特徴
ある程度キャリアを積み、業務も一人で回せるようになってきた中堅社員。
しかし、5月は異動のタイミングでもあり、環境がガラリと変わることも少なくありません。
このタイミングで起こりやすいのが次のような悩みです。
- 後輩指導やプロジェクト管理など、プレッシャーが急増
- 新しいチーム文化になじめず、孤独感が募る
- 経験があるからこそ、うまくいかないと「自分の能力不足」と感じてしまう
■対処法
- 「自分ひとりで抱え込まない」ことを意識する
仕事を“抱えがち”な中堅層は、限界まで我慢する傾向があります。小さな疑問でも、気軽に相談する癖をつけましょう。 - 新しい職場の“空気”をまず観察する
前の職場のやり方をそのまま持ち込まず、新たな職場のルールや価値観を観察することで、スムーズな適応が可能になります。 - 小さな成功体験を積み重ねる
「朝イチでメールを全部処理できた」「新人に感謝された」など、小さな達成感を意識することで、自己肯定感が上がります。
中堅社員の5月病は、頼られているがゆえに周囲が気づきにくいのが特徴。
だからこそ、自分自身のケアを最優先に考えることが大切です。
管理職・リーダーの5月病:見えないプレッシャーが心を圧迫
■特徴
リーダーや管理職になると、責任の重さは段違い。
目に見える成果だけでなく、組織の風土や人間関係など、見えにくい課題にも気を配る必要があります。
以下のような状況に陥りやすくなります。
- 「現場の温度感」と「経営の目標」の間で板挟み
- 部下のモチベーションやメンタルケアまで求められる
- 自分の感情や弱さを表に出しにくく、ストレスをためやすい
■対処法
- 信頼できる相談相手を持つ
上司、同僚、外部コーチなど、気持ちを吐き出せる相手がいることで、自分のバランスを保てます。 - 1on1ミーティングで部下との関係性を深める
対話の場を定期的に設けることで、組織全体の雰囲気が良くなり、自分自身の心理的負担も軽減されます。 - “引き算”の発想で業務を見直す
すべてを完璧にこなすのではなく、「やらないこと」を決めて、リソースを最適化する発想が必要です。
リーダー層の5月病を放置すると、バーンアウト(燃え尽き症候群)に繋がるリスクが高まります。
意識的な休息と外部サポートの活用がカギになります。
テレワーク中心の働き方の5月病:孤独と自己管理のはざまで
■特徴
近年はリモートワークが定着し、在宅勤務が主流という方も増えています。
しかし、物理的な孤立が続くと、心理的な影響が無視できなくなってきます。
- 他者とのコミュニケーションが激減
- 時間の区切りが曖昧で、常に仕事モードが抜けない
- 孤独感から自己肯定感が低下し、無気力になる
■対処法
- 朝のルーティンを整えてリズムをつくる
「起床→散歩→朝食→仕事開始」など、意識的な切り替えをルーティン化することで、メリハリが生まれます。 - オンラインでの“雑談タイム”を設ける
SlackやZoomでの雑談タイムは、孤独感を和らげ、チームとのつながりを実感できる有効な手段です。 - 外出や運動の時間を意識的に作る
軽いウォーキングやカフェでの作業など、外の空気を吸うだけでも気分がリフレッシュされます。
「働く意味が分からなくなる…」という感覚は、テレワーク特有のサイン。
物理的な孤独が心理的な孤立を加速させるため、意識して人とつながる機会を作ることが重要です。
【まとめ】自分の働き方に合った“心のメンテナンス”を
5月病は、「特定の人だけに起こるもの」ではありません。
誰もが環境変化によって心に負荷を感じることがあります。
大切なのは、「気合いで乗り切る」のではなく、自分の立場や働き方に合った対処法を取り入れることです。
自分のコンディションに目を向け、「少し疲れているかも」と感じたら、無理せず立ち止まってください。
職場ごとに異なる5月病の特徴と対処法を知ることで、心身のバランスを保ちながら、安定した働き方を築く第一歩となるはずです。
今こそ、自分の働き方と心の状態を見直してみませんか?
あなた自身の健康とパフォーマンスを守るのは、他の誰でもない「あなた自身」です。