人気インフルエンサー「はせ」が語った、企業案件を装った詐欺の全貌
YouTubeやTikTokで活躍する料理系インフルエンサー「はせ(とろとろチョコ大福)」さんが、自身のSNSで企業案件詐欺の被害に遭い、128万円もの大金を失ったことを明らかにしました。
「こんな手口があるなんて、本当に知らなかった……」
「マジで人間不信になった」
そんな悲痛な声とともに、はせさんはこの詐欺被害体験談をショート動画で公開。
SNSを通じて仕事を受けるインフルエンサーたちに対し、強い注意喚起を発信しました。
被害のきっかけは、インスタグラムのDM(ダイレクトメッセージ)でした。
「新商品のカメラを紹介してほしい」
という一見正当な企業案件の依頼。
加えて、メッセージに記載された企業名や代表者名が実在する人物だったことが、はせさんの信頼を深めてしまったのです。
ここから詐欺は本格化。DMからLINEへと誘導され、契約書の取り交わしや報酬の振込確認など、あたかも本物のビジネスであるかのように手続きを演出してきたのです。
詐欺グループの手口:クラウドソーシング詐欺サイトと信用スコアの罠
詐欺師は、はせさんを偽のクラウドソーシングサイトへ登録させ、報酬が入金されたかのように見せかけました。
サイトのアカウントには前払い報酬28万円が反映されたように表示されますが、引き落としはなぜかできない。理由は「口座が凍結されているから」というものでした。
この不自然な状況に戸惑う中、LINEのサポートセンターを名乗るアカウントが登場。
そこで提示された解決策は、「信用スコアが低下しており、これを回復しなければ報酬を引き出せない」という、現実には存在しないスコア制度の利用でした。
「スコアを回復させるためには、さらに28万円を振り込んでください」
はせさんは焦りと混乱の中、言われるがままに振込を繰り返し、最終的には合計128万円を詐欺グループに奪われてしまいました。
振込先口座が後に書き換えられていたことに気づいたとき、ようやく詐欺だと確信。
すぐに警察に相談したものの、お金はすでに戻ってきていません。
心のダメージは金銭以上に深い…信頼の崩壊と人間不信の闇
はせさんは動画の中で、
「金額も大きいけど、それ以上に人を信じることが怖くなった」
と語っています。
これは、SNS上で繋がり、仕事を受けるインフルエンサーにとって、信用が武器でもあり、同時に最大のリスクでもあることを示しています。
信頼関係が前提にあるはずのSNSのDM詐欺は、他人を信じる優しさにつけこむ最も悪質な犯罪。
そして、今回の件はたまたま「はせさん」だっただけで、誰にでも起こり得る事件です。
「SNSは距離が近い分、信頼も早い。でも裏切られたときの傷は深い」
これは多くのインフルエンサーやクリエイターに共通する実感ではないでしょうか。
フクロウくんの件と共通点──手口は進化し、被害は拡大している
実は今回の詐欺は、先月報道されたゲーム実況系YouTuber「フクロウくん」の被害とほぼ同様の手口でした。
SNSからLINEに誘導し、信頼を得た上で偽サイトに誘導、報酬前払いの名目でお金を振り込ませる──まさにテンプレ化された詐欺手口です。
このように、詐欺グループはインフルエンサーを狙い、「案件依頼」という形を装って繰り返し攻撃してきます。
ターゲットになるのは、フォロワー数の多寡を問わず、ビジネス経験の浅い若手クリエイターも含まれるため、被害は拡大の一途をたどっています。
インフルエンサー詐欺に遭わないための3つのチェックポイント
今後、同様の被害を防ぐために、SNSで案件を受けるインフルエンサーは以下の3点を意識しましょう。
1. 本物の企業か、必ず公式サイトや代表者のSNSで確認を取る
企業名や人物名が実在していても、それが本物の依頼とは限りません。
「なりすまし」被害は非常に多いです。
2. LINEや外部ツールへの誘導には要注意
SNS内で完結せず、LINEやWhatsAppなどに誘導してくる場合は、詐欺の可能性を疑うべきです。
3. クラウドソーシングサイトのURLやドメインを慎重に確認
一見本物のようでも、「xyz」や「.top」などの怪しいドメインを使用していたり、SSLが無効になっていることがあります。
最後に──人間不信になったとしても、自分を責めないで
今回の被害で「自分はバカだった」と語ったはせさん。
しかし、悪いのは騙した相手であって、信じた自分ではありません。
人を信じることは、決して間違いではない。
むしろその優しさがあるからこそ、インフルエンサーは多くの人に支持されるのです。
ただしこれからの時代、SNS上での人付き合いには**“疑う視点”と“距離感”**も必要です。
「信頼」と「警戒」をバランスよく持つことが、心を守るための最善策なのかもしれません。