YouTuber・油粘土マンが示した「異変」とは?
人気YouTuber・油粘土マン(登録者数60万人)がSNS上で見せた異常な投稿が、多くのファンを心配させています。
短い動画と独特の演技スタイルで知られる彼ですが、ここ最近のSNS投稿には、見る人に「何かおかしい」と感じさせる要素が多く含まれていました。
「ありがとう」で始まり「死ね!!!!!!!!!!!!」で締めくくられる投稿、そして「生きててすいませんモード突入」といった自虐的な言葉の数々。
これらは一見、過激な表現に見えるかもしれません。
しかし、精神疾患の一種である「双極性障害(躁うつ病)」を理解すると、こうした言動は決して他人事ではない現実の表れであると分かります。
視聴者の不安と「躁うつ」への理解不足
「最近の粘土マン、マジで躁うつすぎませんか?」
「本当に死んでしまいそうで心配です……」
これは、X(旧Twitter)上に寄せられたファンの声です。
動画内では笑顔を見せる油粘土マンですが、SNSでは唐突に絶望的な言葉を投げかけるなど、明らかに精神のバランスを崩している様子が見てとれます。
このような不安定な投稿に対し、「炎上狙いだろう」「演出では?」と切り捨ててしまうのは非常に危険です。
なぜなら、双極性障害は目に見えない「こころの病」であり、当事者でなければ想像しにくい苦しみが日常に存在しているからです。
双極性障害とは?うつと躁の間で揺れ動く心
双極性障害は、かつて「躁うつ病」と呼ばれていた精神疾患です。
日本ではおよそ100人に1人が発症するとされ、うつ病とは異なり、「躁状態」と「うつ状態」の両極端な気分の波を繰り返すのが特徴です。
● 躁状態とは
気分が異常に高揚し、テンションが高くなる状態。
過剰な自信、無計画な行動、金銭の浪費、睡眠の減少などが現れます。
第三者から見ると「元気そう」「活発」と誤解されることが多いですが、実際には制御不能な精神状態です。
● うつ状態とは
気分が著しく落ち込み、自分を責めたり、生きることが辛くなる状態。
思考力や集中力の低下、食欲不振、不眠などが症状として表れます。
● 軽躁状態と寛解期
躁ほどではないが明らかに気分が高揚する「軽躁状態」、そしてその間に訪れる安定した「寛解期」があるのも特徴です。
こうした状態が周期的に現れるため、本人や周囲が「本当に病気なのか?」と疑念を持ちやすいという難しさもあります。
油粘土マンの投稿に見る「典型的な兆候」
たとえば、「家族ありがとう」「世界ありがとう」などポジティブな言葉を羅列した直後に「俺死ね!!!!!!!!!!!!」という極端な表現へと転じる投稿。
これは、双極性障害の「躁状態からうつ状態へ急降下する」典型的な例として捉えることができます。
また、「限界♪限界♪限界♪」と繰り返す投稿も、衝動的で一貫性のない思考や表現の乱れを示しており、精神の混乱がうかがえます。
若年層YouTuberに増える「こころの不調」
23歳という若さで膨大なプレッシャーを抱える油粘土マン。
エンタメの世界で注目を集める一方、常に「面白いこと」を求められる環境は、創作への過剰な期待や孤独感を増幅させる要因ともなり得ます。
視聴者は彼の「キャラクター」に笑い、共感しますが、その裏で本人が抱える孤独や心の闇には気づきにくいのが現実です。
「YouTuberって、自由で楽しそう」
「好きなことで生きていけるなんて最高じゃん」
そんなイメージの裏側に、精神の限界と戦う若者が存在しているのです。
誰もが「心の病」と向き合う可能性がある
双極性障害は、決して特別な病ではありません。職場でのストレス、家庭の不和、孤独感、過去のトラウマなど、あらゆる環境因子が引き金となり、誰にでも発症のリスクがあります。
一方で、治療によって症状を安定させることは可能です。
専門の精神科や心療内科でのカウンセリング、薬物療法、日常生活のリズム調整などが治療の柱となります。
SNS社会だからこそ、私たちにできること
現代は、誰もが気軽に情報発信できるSNS時代。
便利な一方で、「心の叫び」すらも軽んじられ、バズや炎上として消費されてしまう危険性があります。
今、私たちに必要なのは、「変だな」と思った時に、安易に笑わない、拡散しない、冷やかさないという姿勢です。
そして、もし身近な人が似たような兆候を見せていたら、「大丈夫?」「疲れてる?」と、そっと声をかける勇気を持つこと。
まとめ|油粘土マンの叫びを「ネタ」にしない社会へ
油粘土マンの投稿は、双極性障害という病のリアルを多くの人に突きつけました。
彼の言動は、エンタメではなく「生きることへの必死のサイン」だったのかもしれません。
私たちはそのサインを見逃さず、「またおかしな投稿してる」と片付けるのではなく、心を寄せて見守ることが求められています。
そして、誰もが心に問題を抱える時代だからこそ、「心の病」に対する理解と配慮を、社会全体で育てていくことが必要なのです。